アメリカは、ご存じの通り、世界中から多くの移民がやってきます。
彼等の多くは、留学を経て、この地で学んだ知識や経験を活かせる仕事に就いていくでしょう。
私の場合は、留学生としての渡航ビザで渡米しましたが、実際は英語学校に通う名目で、すぐにでも機会を見つけては仕事がしたいと強く思っていました。
純粋に、アメリカでドルを稼ぎたい思いよりも、うまく話せなかった英語、何もかもが新鮮なアメリカで仕事をするという挑戦に心を熱くしていたと思います。
仕事をすることとは、お金を稼ぐことに直結しますが、それ以前に、手掛ける仕事を通じ人や社会に具体的な貢献を行うことが前提だと思います。
渡米して間もない頃、最初に就いた仕事は、朝から晩までタイヤを磨く仕事でした。
スーツを着て、オフィスで仕事をしていた日本の頃を振り返ると、一抹の不安を抱えていましたが、何故か、胸の奥底に眠っていた希望が、不安をかき消してくれたように思います。
その当時の自慢は、3人か4人で横並びで働いていたタイヤ磨きの仕事で、私が一番多くのタイヤを磨いていました。
その時の心は、少しでも多くのタイヤを磨いて、オーナーに対し、自分が必要な人材だと思われることを目標としていました。
雇って下さった雇用主に貢献することで、信頼関係が生まれ、更に大きな仕事を任せてもらえると考えたからです。
あれから10年以上が過ぎましたが、これまで実に多くの方々と関わり、様々な仕事を任せていただきました。
お仕事の依頼を受ける度に、その都度、感謝する気持ちは、これからも一生変わらないと思います。
どんな些細な仕事でも、敬意と感謝の気持ちを持って接することで、どなたかのお役に立つ事が出来ると信じています。
ときどき、渡米されて間もない若い学生さんに、何の経験も、資金も無い状況で、どうやったらアメリカに残れますか? と相談を受けることがあります。
「とにかく、根拠の無い自信を持って、手掛ける仕事で後悔を残さないよう精いっぱい頑張ると、おのずと道が開ける。」
まずは、パート・アルバイト、正社員といった雇用形態を問わず、手掛ける仕事で必要とされる人材を目指す事が大切だと思います。
必要とされる仕事に、精一杯向き合うことで、それが後の将来、何らかの形で必ず役に立つ時が来るからです。
そして、何者でも無かった人が、かけがえの無い人に変わる事を、経験的に学んできました。
年齢や性別を問わず、後からやって来られる人達を支えられるよう、微力ながら貢献したいと思っています。